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February 6, 2018

任意の物語

卯月
桜前線が東北地方や北陸地方にまで到達し、いよいよ、日本各地で桜の花が咲きほこります。ちなみに、この「桜前線」とは、桜(主にソメイヨシノ)の開花予想日を結んだ線のこと。実はマスメディアによる造語なのですが、気象庁の公式用語より風情があります。

皐月
初夏に新緑の間を抜けてくる心地よい風のことを薫風(くんぷう)といいます。鼻孔(びこう)をくすぐる柔らかな風の中には、新緑の香りだけではなく、どこかしら、春花(はるはな)の残り香も感じられます。春の果てとともに、暦の上では、立夏を迎えます。

水無月

梅が熟す頃の長雨(ながあめ)になぞらえ、立春から127日目が暦の上での「梅雨入り」です。ちなみに、気候学上の季節変化を世界的に比較すると、東アジアでは春夏秋冬に梅雨を加えた五季、さらに、日本に限ると秋雨(あきさめ)を加えた六季があります。

文月
そろそろ、梅雨も終盤といいたいところですが、例年、この時期は台風シーズンと重なり、「集中豪雨」や「局地的大雨(ゲリラ豪雨)」とも呼ばれる大雨が多発しがち。十分な警戒が必要ですが、ある意味、夏はもうすぐそこまで来ているという証左でもあります。

長月
別名、「恋教鳥(こいおしえどり)」として知られる鶺鴒(せきれい)が鳴き始める時候です。日本神話ではイザナギとイザナミに、ちょっとした恋の手ほどきをしたのが、その名の由来。その具体的な内容については、ここでは触れられません(18禁)。

神無月
「秋の日はつるべ落し」とはよくいったもので、この時期の落日はあたかも深井戸に釣瓶(つるべ)が落ちていくような勢いです。一方、秋が深まるにつれて夜が長く感じられる、いわゆる「秋の夜長」。過ごしやすい時節ではありますが、くしゃみが出たら、ご用心。

霜月
北海道から「紅葉前線」が南下しはじめ、山々はもちろん、東京の街並みも、少しずつ紅葉に染められてゆく時節です。また、朝露(あさつゆ)に代わって降りてくる霜が、少しずつ冬の気配を運んできます。木枯らし一号が吹いたら、ついに、気圧配置も冬型です。

師走
古くは古事記にも登場し、日本固有の柑橘類(かんきつるい)として、「永遠」のシンボルともなっている橘(たちばな)。端的にいえば、ミカン類の総称なのですが、しばしば家紋に用いられるほか、文化勲章のデザインとしても有名なので、忘れずにチェック。

睦月
まもなく迎える十一日といえば「鏡開き」。古来より、神聖視されていた「鏡」をかたどった鏡餅には、けして刃物をたててはいけません。なお、深遠なる命題ですが、鏡に映る像は鏡像といわれ、幾何学的にいえば、左右ではなく前後(奥行き)が逆転しています。

如月
冬と春が分かれる節目のことを「節分」といい、その意味では、その翌日(四日)が春の初日ということになります。また、旧暦では、一年の始まりは立春(四日)から。寒さも底を打てば、後は上がるだけ。この考え方は、中国の「陰陽五行思想」に由来します。

弥生
春はまだ浅く、今一、天候も不安定かもしれませんが、その足音は着実に近づいています。雪解けの土からは蕗の薹(ふきのとう)や、蕨(わらび)、薇(ぜんまい)などの山菜が芽吹き、冬ごもりしていた虫(啓蟄(けいちつ))や動物たちも目を覚ましだします。

[ category : library ]

posted by fuyubi @ 5:55 AM

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