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February 7, 2018

不寝番

卯月
うららかな春光が眩しく、花々をはじめ、万物がすがすがしくも美しく感じられる時候です。なお、この時期の通り雨のことを「春時雨(はるしぐれ)」といいますが、この「照り降り定めない」時雨ですら、「春」の一語が加わるだけで、その瑞々しさが際立ちます。

皐月
古来より、五月は物忌(ものい)みの時季とされ、端午の節句(五月五日)には、薬草としても使われる菖蒲(しょうぶ)をもって、穢(けが)れを払う風習があります。特に、菖蒲湯にはその香りとともに、精油成分によっては、血行促進や保湿効果も期待されます。

水無月
この時期、道端や小川の畔(ほとり)に見かける雑草に「露草」があります。朝咲いた花がその日のうちにしぼむ姿が、あたかも、朝露を連想させることがその名の由来。明るい薄青色をしていますが、色が落ちやすい特性から、「うつろい」の枕詞ともなっています。

文月
夜になると葉と葉を合わせるように閉じ、その眠りにつくような様子から,頭韻を踏んだとされる合歓木(ネムノキ)。翻って、淡い紅色の花が刷毛のような細長い雄しべを広げて、この時期の夕暮れに咲きはじめます。葉は昼型、花は夜型という不思議な木です。

長月
「桃栗3年、柿8年、柚子(ゆず)の大馬鹿18年」などと呼ばれることもあるように、その成長が遅いことで知られる柚子ですが、この時期の焼き魚やお吸い物には欠かせません。なお、切る前に、皮全体に塩をふりかけて軽く揉むと、香りが何倍にも引き立ちます。

神無月
今ではあまり聞かれないものの、菊の花びらを乾燥させて、枕の中綿がわりにつめた菊枕には上品な香気があり、女性が恋するひとに贈るならわしがあります。漢方では体の無駄な熱を冷ますとされ、邪気を払い、不老長寿を得ることが出来ると珍重されています。

霜月
肌感覚としては、秋もたけなわといったところですが、まもなく立冬(七日)を迎え、暦の上では、冬がはじまります。ただ、枯れていく葉でありながら、季節の深度とともにその色を深める紅葉。まさに、「枯れる一歩手前」に、その頂点(ピーク)を迎えます。

師走
真冬に鮮烈に色付くポインセチア。キリストの血の色にも例えられるその赤さと緑色の葉の対比がクリスマースシーズンに色を添えます。ちなみに、原産国であるメキシコでは、「ノーチェ・ブエナ」と呼ばれ、通称、「クリスマス・イヴ」の意味を持ち合わせます。

睦月
去年今年(こぞことし)。年の瀬の真夜中に、今日が昨日になって、今年が去年になって、なんとなく、過去が未来に代わったような気がするのは、単なる気のせい。新年にかかわらず、「一日の計は晨(あした)にあり」。悲しみよこんにちは、そして、武器よさらば。

如月
アダムとイブが楽園を追われたとき、天使がイブを慰めるがために舞い落ちる雪に息を吹きかけたところ、その雪が落ちたところから咲いたといわれる「スノードロップ」。冬の終わりごろに、花茎を伸ばして、小さなベル形の白い花を咲かせます。雅称、待雪草。

弥生
菖蒲湯(しょうぶゆ)や柚子か、あるいは、それ以上に万能な和製ハーブともいわれる「よもぎ」。よく刻んだものを布袋に入れ、お風呂に浮かべるだけで、簡単な入浴剤の出来上がり。もちろん、新芽の香りは、おひたしや草餅、天ぷらなどにしてもうれしい一品。

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posted by 草森冬弥 @ 5:55 AM

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